株式会社商船三井 2024年度WEB版中間報告書

 

特集

 

クルーズ事業、2隻体制が始動
12月、「{MITSUI OCEAN FUJI}^{三井オーシャンフジ}」デビュー

クルーズ船{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}
(イメージ図)

 当社は2023年度に非海運事業やBtoC事業(一般消費者向け事業)を中心とするセグメント「ウェルビーイングライフ営業本部」を新たに設立しました。この事業セグメントにおける大きな取り組みの一つがクルーズ事業です。クルーズ事業の新ブランド{「MITSUI OCEAN CRUISES」}^{三井オーシャンクルーズ}を発表し、2024年12月に新たなクルーズ船{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}が加わり、現在運航中の「にっぽん丸」との2隻体制でサービスを展開していきます。「日本の美しい船旅」をコンセプトに、これまで培ってきた心からのおもてなしをさらに追求していきます。

140年の歴史が紡ぐ商船三井のクルーズ事業

 商船三井のクルーズ事業の始まりは約140年前、当社の前身である大阪商船の創立に遡ります。大阪商船は戦前・戦後を通じて、日本と南米諸港を結ぶ航路を中心に多くの客船(当時は貨物も一緒に運ぶ貨客船)を運航してきました。戦後は旅行者や外国人のほか、移住者も多く乗船するなど、客船が担う役割は多様でした。
 その後、会社の合併を経て現在の商船三井へと至る中で、本格的なレジャークルーズに踏み出し、現在に続くクルーズの形を作り上げてきました。日本の船として初めての世界一周クルーズを行ったのも初代「にっぽん丸」です。明治、大正、昭和を経て今日まで、日本国内で当社だけが一貫して客船・クルーズ船の運航を続けてきました。これまでに商船三井グループが運航する客船・クルーズ船を利用した乗客数は延べ約1億人にのぼります。
 クルーズを取り巻く環境は時代とともに大きく変化してきました。コロナ禍による一時的な需要の蒸発を経験しましたが、その前後では世界中で旅行への関心が高まるとともに、クルーズ需要も一貫して増加しています。世界に比べて需要の伸びが緩やかであった日本においても、コロナ禍や働き方改革を経て人々の余暇の楽しみ方は多様化し、クルーズ船に乗ったことのある日本人は年々増えています。さらに、インバウンド観光客による訪日需要の回復も相まって、クルーズ船での船旅に改めてスポットライトが当たっています。クルーズ需要の高まりという追い風を受け、日本のクルーズ市場は今も拡大を続けています。

 当社のクルーズ事業も新展開を迎えています。2023年10月に当社グループの商船三井クルーズ社において、新クルーズブランド{「MITSUI OCEAN CRUISES」}^{三井オーシャンクルーズ}を発表しました。日本の海運の歴史を築いてきた商船三井の誇りと、青い海から始まる未来への希望、お客様により親しみを持って長くご愛顧いただけるようなクルーズを育てたいという思いを込めています。2024年12月からは、現在運航している「にっぽん丸」に加え、米国のクルーズ船社から購入したクルーズ船を、かつて当社が保有していた「ふじ丸」と日本の象徴の一つである「富士山」を由来として{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}と命名し、2隻体制で運航していきます。

{POOL KOHAN}^{プール湖畔}(イメージ図)

               三井オーシャンフジ

いよいよ「MITSUI OCEAN FUJI」がデビュー

 12月1日に就航する{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}は、すべての客室をスイートルームとするラグジュアリー仕様のクルーズ船です。お食事の選択肢も豊富に取り揃え、その日の気分に合わせて選ぶことができます。自宅のリビングのようにリラックスして過ごせる広々としたラウンジには、フロント機能やコンシェルジュサービスも集約されています。スパやサウナ、フィットネスセンターなどのウェルビーイング施設も充実しています。

テラスレストラン八葉[{HACHIYO}^{ハチヨウ}](イメージ図)

 当社は2024年9月28日に米国のクルーズ船社から{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}の引き渡しを受け、現在、就航に向け改装を進めています。その一つとして、船内の施設名をリニューアルします。メイン・レストランは船名を冠した「ザ・レストラン富士」、ビュッフェスタイルのレストランは富士山頂部の8つの峰を指す「八葉」に由来する「テラスレストラン 八葉[{HACHIYO}^{ハチヨウ}]」、スペシャル・レストランは葛飾北斎の名から「北斎 {FINE DINING}^{ファイン・ダイニング}」としました。船首の景色を一望できるバーは葛飾北斎の名作「富嶽三十六景」にちなみ「オブザーベーションバー36[サンロク]」、プールサイドを富士の湖になぞらえた「湖畔」など、日本の文化や自然の美しさを表現した名称としています。それぞれの場所で、新しい名称にふさわしいサービスと過ごし方をご用意して、お客様に場所を選ぶ楽しみとくつろぎの時間を提供いたします。

 {「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}のサービスを司るホテル部門のゼネラルマネージャー及び総料理長には、長年「にっぽん丸」で培ってきた経験を持つスタッフが就任し、同船が誇るサービスと食のクオリティを継承します。「美食の船」として定評のある「にっぽん丸」と同様に、日本各地の旬の食材を生かした洗練された料理の数々をお召し上がりいただけるのはもちろん、スペシャル・レストラン「北斎 {FINE DINING}^{ファイン・ダイニング}」ではフランス料理界の巨匠、三國清三シェフが監修する和の食材をふんだんに使った特別メニューをご堪能いただけます。

 {「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}は12月1日から2025年1月にかけ、横浜/東京、名古屋、神戸を発着地とするデビュークルーズや、ニューイヤークルーズを実施します。4月以降も12日間のゴールデンウィーク日本一周クルーズ、66日間の{「GRAND ASIA CRUISE}^{ グランド・アジア・クルーズ} 2025 ~船で巡る絶景紀行~」などが控えています。日本国内、そしてアジア各地を装い新たな{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}で訪れます。

北斎 {FINE DINING}^{ファイン・ダイニング}(イメージ図)

フランス料理界の巨匠、三國清三シェフ
監修のメニュー(イメージ図)
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フランス料理界の巨匠、三國清三シェフ
監修のメニュー(イメージ図)
ペントハウス・スパスイート(イメージ図)
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ペントハウス・スパスイート(イメージ図)

2隻で多様なクルーズを提供

 {「MITSUI OCEAN CRUISES」}^{三井オーシャンクルーズ}では12月から「にっぽん丸」{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}の2隻体制となることで、より多彩なクルーズを提供していきます。「にっぽん丸」でのクルーズは3~4泊程度の短めのクルーズを中心にラインアップ。{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}でのクルーズは、すべてのクルーズで海外の港への寄港を含んだ4泊以上のコースで、寄港地も船内もじっくりとご満喫いただけます。日数をかけて各地を巡りたいお客様にも、長い休暇を取りにくい現役世代のお客様にも、スタイルやお好みに合わせたクルーズをご用意します。
 どちらの船も2万~3万総トン級というクルーズ船では小型船で、大型船では寄港できない港や、日本の美しい自然がそのままに育まれている土地などを訪れることができます。船から直接、もしくはテンダーボート(通船)で寄港地に上陸し、各地それぞれの自然や文化・食を体験する――。これまで「にっぽん丸」で日本各地をくまなく巡ってきた当社による選りすぐりの寄港地で、特別な体験を存分にお楽しみいただけます。また、日本のお客様のみならず、アジアを中心とする海外からのお客様にも当社のクルーズを選んでいただけるよう『上質な日本』を感じるクルーズ体験の提供を目指していきます。
 当社は{「MITSUI OCEAN CRUISES」}^{三井オーシャンクルーズ}をさらに拡大していく予定です。「にっぽん丸」{「MITSUI OCEAN FUJI」}^{三井オーシャンフジ}に加え、新たなクルーズ船を投入し、「日本の美しい船旅」をお届けしていきます。

 

 商船三井は2023年度にグループ経営計画{「BLUE ACTION}^{ ブルーアクション} 2035」をスタートさせ、海運市況の影響を受けにくい安定収益型の事業として不動産、フェリー・内航RORO、クルーズ船といった非海運事業の強化を推進しています。その一環として、当社の歴史上初めてとなる「貨物」ではなく「人」を事業の大きな柱とする「ウェルビーイングライフ営業本部」を設置しました。このウェルビーイングライフ事業における2024年度の取り組みの目玉がクルーズ事業です。商船三井クルーズはお客様一人ひとりが幸せを感じる体験を提供し、日本発祥の「ウェルビーイング」の実現に向けて前進してまいります。