株式会社商船三井 2022年度WEB版中間報告書
「地域戦略」をインドで実践、
他国にも横展開現
当社は、アジアを重点に輸送にとどまらない大型案件をグループの総合力を発揮して獲得することを目的とした「地域戦略」を営業戦略の柱として進めています。エネルギー輸送、ドライバルク船、自動車運搬船、物流、不動産など当社グループのあらゆる事業分野において、成長地域であるアジア全域で事業開拓を進める中で、先行して取り組み、実績が上がっているのがインドです。今年度からアジアを東アジア・東南アジア・大洋州地域と南アジア・中東地域の二つに分けてそれぞれに地域担当役員を置き、インドを含む南アジア・中東地域の担当役員には現地事情に通じたインド出身のアジャイ・シンを起用しました。
人口14億人のインドは成長ポテンシャルの高い国の一つです。当社のインド展開の歴史は長く、古くは当社の前身会社の一つである大阪商船が1912年にボンベイ(現ムンバイ)に事務所を開設し、翌年に神戸/ボンベイ航路を開設したところから始まります。それから110年が経過した今、さまざまな分野で事業を展開し、この国には更なるビジネスの種があると見ています。
近年特に事業を拡大しているのがエネルギー関連の分野です。LNG船(液化天然ガス運搬船)やVLEC(大型液化エタン輸送専用船)を対象にインドの国営、民営企業と契約を締結しているほか、FSRU(浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備)を用いたLNG受入ターミナル建設・運営プロジェクトにも参画しています。また昨年4月には、当社の100%出資子会社として油送船事業のサクラ・エナジー・トランスポートを設立して、VLCC(大型原油タンカー)、石油製品船、LPG船(液化石油ガス運搬船)の船隊をそろえ、インドのエネルギー企業との契約を着実に積み上げています。これらの事業を通じて、インドで高まるエネルギー需要に応えています。
インドは鉄鋼原料や燃料用石炭をはじめとするドライバルクの大輸入国でもあり、当社はその輸送に大型から小型までのドライバルク船を投入しています。インドからの輸出貨物としては完成車の輸出が増加しており、当社の自動車運搬船がその輸送を担います。
これまでの事業で培ったインド市場における事業基盤やリソースを活用しながら、海運業のみならず、物流事業や不動産事業といった、当社が拡大を目指す非海運部門でも事業機会を求めていきます。また、現地に根差した事業展開によりそれぞれのお客様に最適なサービスを提供していきます。
インドをターゲットとした地域戦略の遂行においては、本社のあらゆる部門と現地組織が一体となりながら事業を拡大してくことを目指し、未進出の領域にも果敢に挑戦していくとともにインドにおける事業運営を盤石なものにしていきます。また、インドにおけるこれらの取り組みをパイロットケースとし、その実践から生み出された仕組みや知見を他のターゲット国へと横展開していきます。