株式会社商船三井 2022年度WEB版中間報告書

 

LNG燃料の大型外航船
6隻の建造決定実現

LNGを主燃料とした大型ばら積み船(ケープサイズバルカー)と大型原油タンカー(VLCC)のイメージ図
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LNGを主燃料とした大型ばら積み船(ケープサイズバルカー)と大型原油タンカー(VLCC)のイメージ図

当社は環境負荷の低いLNGを主燃料とした大型ばら積み船(ケープサイズバルカー)4隻と大型原油タンカー(VLCC)2隻の建造契約を造船所と締結しました。


ケープサイズバルカーは21万重量トン型で、中国船舶集団青島北海造船有限公司で2025年から2026年にかけて順次竣工する予定です。VLCCは30万9000重量トン型で、川崎重工業株式会社が中国遠洋海運集団と共同運営している大連中遠海運川崎船舶工程有限公司で2025年から2026年にかけて竣工する予定です。LNG燃料VLCCの建造は日本の船社で初の取り組みです。

当社グループは2050年までにネットゼロ・エミッションを達成することを目指し、2021年6月に発表した「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」に沿って脱炭素・低炭素化を進めています。その実現に向けた「クリーン代替燃料の導入」戦略として、2030年までにLNG燃料船を約90隻投入する予定です。当社グループは、就航済のタグボート・内航貨物船の2隻を含め、既にLNG燃料の導入を決めた自動車船・ばら積み船・フェリーに加え、今回の建造契約によって外航船16隻と内航船6隻のLNG燃料船の建造を決めました。今年度はLNG燃料フェリー4隻のうちの第2船が竣工し、大阪/別府航路に就航します。当社グループ運航船のLNG燃料化だけではなく、燃料供給のサプライチェーン全体の整備を推進するためLNG燃料の供給船2隻も保有しています。

当社は2020年代中にネットゼロ・エミッション外航船の運航を開始する目標を掲げていますが、その本格的な普及に向けては、技術的な課題の解決や燃料供給体制の整備などに相当時間がかかることが見込まれます。これに対して、LNG燃料は従来の船舶燃料の重油と比べて二酸化炭素(CO_{2})の排出を25~30%削減できるだけでなく、重油と比べて燃焼時の硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)、ブラックカーボンの排出を大幅に減らすことができるクリーンな燃料です。将来的には、LNG燃料を、再生可能エネルギーを用いて製造される合成メタンに置き換えることで更なる低炭素化が期待できます。

また、LNG燃料は長年船舶用燃料として安全に使われてきた実績があり、世界の約140港で船舶用LNG燃料の供給を安定的に受けることができます。海運会社の使命である遠距離大量輸送サービスの安全・安定的な提供の維持を現時点で可能にする代替燃料がLNGであり、当社は「今すぐ実現可能な取り組み」としてLNG燃料船の導入を進めることでGHGの総排出量削減に努めてまいります。