株式会社商船三井 2023年度WEB版中間報告書

 

REPORT 2

本邦初・女性船長が自動車船にて初航海へ

松下尚美船長(中央)と女性船員
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松下尚美船長(中央)と女性船員

当社は2023年6月6日、自動車運搬船「BELUGA ACE」の船長に松下尚美を任命しました。女性海上社員が船長として実際に乗船をするのは、本邦の総合海運会社では初めてです。

当社には、松下船長のほかにも女性船員が14人在籍しています。2人の子どもを育てている松下船長。「海の世界への女性の進出は近い将来日本でも特別なものではなくなると思います。会社も乗船期間を短縮するなど取り組みを進めているところです。できない理由ではなく、できる方法を探す姿勢を心掛けたいですね。私の働き方はあくまで一例であり、最適解を皆で考えて後輩たちを応援していきたいです」とエールを送ります。

自動車運搬船「BELUGA ACE」
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自動車運搬船「BELUGA ACE」

当社では、女性の活躍推進を含めたダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを「新たな成長の原動力」と位置づけ、

「商船三井グループ {Human Capital}^{ヒューマンキャピタル} ビジョン」の基本原則の一つに据えており、経済産業省および東京証券取引所が「女性活躍推進」に優れた企業を認定する「なでしこ銘柄」に3年連続で選定されています。当社は今後も多様な仲間を受け入れ、一人ひとりが個性を輝かせ活躍できる職場環境づくりやキャリア支援を推進していきます。

松下船長が海の世界を志したのは、世界各地から集まった若者が船内で1カ月共同生活を送る「世界青年の船」への参加がきっかけでした。 当時商船三井客船が運航していた「新さくら丸」に乗船し、生き生きと働く船員の姿を目の当たりにし、「私もこの世界に携わりたい」と感じた松下は東京商船大学に進学。卒業後は内航船などで航海士としての経験を積んだ後、2006年にキャリア採用で当社に入社し、子どものころから憧れていた外航船での勤務をスタートしました。主に自動車船やコンテナ船で乗船経験を積み、陸上でも運航支援や船舶管理など幅広いフィールドで活躍してきました。

船長として勤務したのは2023年の6~7月。「船長になる以前から、その仕事は間近で見てきたつもりでしたが、いざ自分が船長になってみると船員の命と貨物の安全を守る重責を痛感しました。最善の判断ができているか、常に考える日々でした」と、船長としての初航海を振り返ります。

「BELUGA ACE」の乗組員数は松下船長を含めフィリピン人15人と日本人8人の計23人でした。松下船長の下、若手の女性船員が複数名乗船しました。当社は「Human Capitalビジョン」に基づき、陸上職・海上職ともに幹部ポジションへの女性社員の積極的な登用を進めています。グループ横断で業務執行を牽引する主要ポスト「MOL {Group Key Positions}^{グループ キー ポジション}(MGKP)」に就く女性の比率を2025年度末までに8%に高めることを目標としており、海上職でも活躍する女性が増えてきています。

安全運航に欠かすことのできない乗組員との関係構築について、松下は「共に船を動かす仲間として互いに躊躇なく相談できる関係を築きたいと思い、普段からコミュニケーションの機会を積極的に持っています。乗組員には安全に楽しく乗船期間を過ごして達成感を持って下船して欲しい。“応援団長”として背中を押してあげられる船長でいたいです」と語ります。

本邦初の女性船長 松下尚美
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本邦初の女性船長 松下尚美