株式会社商船三井 2023年度WEB版中間報告書
REPORT 3
クリーンエネルギーを
「作る・運ぶ・使う」
当社は、グループ経営計画「{BLUE ACTION}^{ブルーアクション} 2035」に基づき、海の貴さ、地球環境の貴さを大切にしながら事業活動を行っています。当社グループでは「2050年のネットゼロ・エミッション」を目指し、人や社会、地球の持続的な発展に貢献する取り組みを継続しています。
2023年4月に更新した「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」では、気候変動対策に関する中長期目標を定量的に定め、さまざまなアクションを取っています。その一つが社会の脱炭素につながる、クリーンエネルギー普及への貢献です。
- BLUE ACTION 2035 (7,006KB)
■クリーンエネルギーを「作る」
米国企業Ascension Clean Energyに出資して、CO₂排出を抑制した方法でクリーンアンモニアを生産するプロジェクトに参画することとしました。生産の段階から関与し、船舶燃料やその他の用途で用いられるクリーンアンモニアの供給に貢献します。また、クリーンエネルギーを作る際に重要となるCO₂の回収・利用・貯留のバリューチェーンの構築に向け、CO₂輸送事業にも進出しています。
■クリーンエネルギーを「運ぶ」
クリーンエネルギーの輸送にも力を入れています。アンモニアは現在、肥料や化学品の原料等に幅広く利用されていますが、クリーンアンモニアを火力発電の燃料として使用することでCO₂の排出を削減する試みを日本の電力会社が進めています。その動きを背景に当社は大型アンモニア輸送船の導入に取り組んでおり、2023年9月にアンモニア・LPG(液化石油ガス)輸送船「PHOENIX HARMONIA」が就航しました。
アンモニアと同様に、水素にも注目しています。水素を輸送するためには、水素をアンモニアやその他の物質に変換したり、水素を極低温で液化するなどの方法があります。このうち、水素を液化して輸送する取り組みとして、当社では液化水素運搬船による海上輸送事業の検討を進めているJSE Oceanに出資し協業を進めていきます。
■クリーンエネルギーを「使う」
当社グループでは、燃焼した時にCO₂を排出しないアンモニアや水素などのゼロ・エミッション燃料を使用する外航船を2035年に130隻にすることをターゲットとしており、その1番船として、アンモニアを燃料とする船舶の2026年ごろの導入を検討しています。
また、このようなゼロ・エミッション燃料船が普及するまでに技術的な課題もまだあり、しばらく時間がかかります。そのため、今できる排出削減も重要であり、今ある技術によって排出削減が可能なLNGやバイオ燃料の利用も進めています。
2030年までにLNGやメタノールを燃料とする外航船を90隻にすることを目指し、さまざまな種類の船舶で具体化しています。
LNGを燃料とする船は、自動車船では既に10隻以上の導入を決定しており、LNG燃料自動車船を「BLUE(ブルー)」シリーズと名付け、来年から順次運航を開始します。また、LNG燃料大型原油タンカーは計4隻を造船所に発注しています。LNG燃料ばら積み船も、国内電力会社向けなど計8隻の導入を決定しています。
メタノールを燃料とする船については、当社は2016年からメタノール燃料タンカーを就航させています。また、当社グループの商船三井ドライバルクもメタノール燃料小型ばら積み船の導入を決定しています。
環境にやさしいエネルギーを作る、運ぶ、そして使う。新たなエネルギーに対してさまざまな角度から取り組み、世界の脱炭素に貢献してまいります。